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建設業では、一定の規模を超える工事を請け負う場合に「建設業許可」が必要です。
では、どのような工事に建設業許可が必要なのか?
また、建設業許可の種類や、建設業許可を取得するために必要な要件は?
以下に解説します。
【注意事項】
※埼玉県の建設業許可手続きを例として「建設業許可の要件を証明するための必要書類や判断基準」を解説しています。
「必要書類」や「許可要件の判断基準」については、都道府県ごとにルールが異なりますので、手続きの際には申請先の都道府県の手引きを参照し、窓口にご確認いただきますようお願いいたします。
建設業許可が必要となる工事
建設業許可はどんな工事をするときに必要なのか?
次の基準で判断します。
①建設業許可が『不要』な工事
以下の軽微な工事を請け負うときは、建設業許可は『不要』です。
- 『建築一式工事』の場合…次の要件のどちらかに該当すれば軽微な工事になる
・1件の請負代金が税込1,500万円未満の工事
・請負代金の額にかかわらず木造住宅で延面積が150㎡未満の工事
(主要構造部分が木造で、延面積の1/2以上を居住の用に供すること) - 『建築一式工事以外(例えば、大工工事・電気工事・造園工事など)』の場合
1件の請負代金が税込500万円未満の工事
②建設業許可が『必要』な工事
①以外の工事を請け負う場合は、建設業許可が『必要』となります。
まずは請負工事金額で、「税込1,500万または税込500万」を頭に入れておくとよいです。
建設業許可の種類
建設業許可の種類は、『営業所の所在地』、『受発注の形態』によってそれぞれ次の種類に分類されます。
知事許可と大臣許可
『営業所の所在地』によって、『知事許可』と『大臣許可』に分けられます。
- 知事許可: 1つの都道府県内にのみ営業所を持つ場合
- 大臣許可: 2つ以上の都道府県に営業所を持つ場合
『施工する現場』の場所ではなく、営業所の所在地によって許可の種類が決まります。
なお、知事許可と大臣許可でそれぞれ提出先、提出書類が異なりますのでご注意ください。
一般建設業許可と特定建設業許可
受発注の形態や、下請業者への発注金額によって、『一般建設業許可』と『特定建設業許可』に分けられます。
- 一般建設業許可: 「元請け」で、下請業者に発注する工事の合計額が税込5,000万円未満(建築一式工事は税込8,000万円未満)の場合
- 特定建設業許可: 「元請け」で、下請業者への発注額が税込5,000万円以上(建築一式工事は税込8,000万円以上)の場合
下請業者を取りまとめる元請業者には大きな責任が生じます。なので、特定建設業許可業者には、より厳格な基準が適用されます。
『元請』『下請業者への発注』『税込5,000万円以上(8,000万円以上)』がキーワードです。
建設業許可の要件
建設業許可を取得するためには、以下の要件を満たす必要があります。
営業所
建設業の営業所は次の条件を満たす必要があります。
【営業所の
- 営業所としての実体があり、お客様と契約締結するための独立したスペースがあること
- 電話、机、各種事務台帳等を備えていること
- 常勤役員と専任の技術者が常駐していること
- 営業所を使用する権利があること(自己所有または賃貸契約等の締結)
- 看板や標識などで外部から営業所であることを表示していること
営業所の実態があることの証拠書類として、埼玉県では以下の書類の提出が必要となります。
【写真】
・外観(建物全体1枚以上、申請者の名称を表示した看板を入れたもの1枚以上)
・郵便受け(申請者の名称を表示したもの1枚以上)
・内部の状況(別角度で2枚以上)
【状況に応じて求められるもの】
・見取り図
・建物登記簿または賃貸契約書等
常勤の役員等
許可を取得する法人は、業務を管理できる常勤の役員(個人事業主の場合は本人または元個人事業主の従業員)を配置する必要があります。
「業務を管理できる役員等」とは、「建設業を営む会社で5年以上役員を経験した人」など、建設業の経営に関する豊富な経験がある人が条件になります。
この「業務を管理できる役員等」の証明書類については、「法人」「個人事業主」「建設業許可業者での実績の有無」などによって証明書類が異なります。
また、「常勤の役員等」の証明について、埼玉県では、「当該役員等が会社の社会保険に加入していること」(法人の場合)などを要件としています。
具体的な証明書類としては、「役員の健康保険証の写し」などが求められます。
(※健康保険証の有効期限終了後は、「健康保険・厚生年金被保険者標準報酬決定通知書の写し」または「住民税特別徴収税額通知書の写し」が求められます。)
常勤役員の要件については非常に複雑なため、別の記事で改めて解説します。
社会保険への加入
会社として社会保険(健康保険・厚生年金・雇用保険)に加入していることが求められます。
埼玉県では、社会保険への加入の証明書類として、「社会保険料の領収書の写し」等が求められます。
常勤の専任技術者(営業所技術者等)
建設業許可を受けるためには、営業所ごとに常勤の専任技術者(※埼玉県では、令和7年2月より「営業所技術者等」に呼称が変更されました)を配置しなければなりません。
専任技術者(営業所技術者等)は、許可を受けようとする工事に「必要な資格」または「豊富な実務経験」を有する人であることが条件となります。
その証明方法は、資格をお持ちの方は「資格証明書」が求められます。
実務経験の証明については、「学歴」「建設業許可業者での実績の有無」などによって証明書類が異なります。
また、「常勤の専任技術者(営業所技術者等)」の証明について、埼玉県では「当該社員が会社の社会保険に加入していること」(法人の場合)などを要件としています。
具体的な証明書類としては、「社員の健康保険証の写し」等が求められます。
(※健康保険証の有効期限終了後は、「健康保険・厚生年金被保険者標準報酬決定通知書の写し」または「住民税特別徴収税額通知書の写し」が求められます。)
専任技術者(営業所技術者等)の要件については非常に複雑なため、別の記事で改めて解説します。
請負契約に対する誠実性
不正な契約や法律違反を行わず、誠実に事業を行うことが求められます。
具体的な例としては、「建築士法、宅地建物取引業法で不正により免許等の取消処分を受けてから5年を経過しない者」は、誠実性の要件を満たさないものとして建設業許可を取得することはできません。
財産的基礎または金銭的信用
建設業を営むにあたり、一定の財務基盤を有することが必要です。
条件は「一般建設業許可」と「特定建設業許可」で異なります。
【一般建設業】…次のいずれかに該当すること
・自己資本(純資産)500万円以上
・500 万円以上の資金調達能力
・(すでに建設業許可業者の場合)5年間の営業実績
【特定建設業】…次のすべてに該当すること
・欠損金額が資本金の20%を超えていないこと
・流動比率75%以上
・「資本金2,000万円以上」かつ「自己資本(純資産)4,000万円以上」
証明資料としては、「直前期の決算書」または「銀行の残高証明書(許可申請の1か月以内のもの)」が求められます。
欠格要件に該当しないこと
過去に法律違反などにより罰則を受けた場合、許可を取得できないことがあります。
証明資料としては、役員の「本籍地で発行する身分証明書」「登記されていないことの証明書」などが求められます。
まとめ|埼玉県の建設業許可のことなら行政書士宮下太陽事務所へ!
建設業許可が必要となる要件や、建設業許可を取得するための要件について解説しました。
建設業許可を取得するための要件はたくさんあり、しかもとても複雑です。
建設業許可を取得するときは、手続きの専門家である行政書士のサポートを受けることをおすすめします。
行政書士宮下太陽事務所は埼玉県久喜市に拠点を構え、埼玉県内はもちろん、隣接する都県にも対応可能な行政書士として、建設業の許可申請や関連業務をサポートしています。
建設業許可の取得でお悩みなら、ぜひ当事務所にお問い合わせください。
初回相談無料ですので、ぜひお気軽にご相談ください!
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