「終活」という言葉が使われだしたのは2009年ごろ。
今では「終活」という言葉はすっかり定着しました。
その「終活」の代表的なものが「エンディングノート」です。
さて、このエンディングノート。
「死ぬ前に書いておくもの」ということはわかっている。
でも、
・実際にどんなことを書くものなのか?
・遺言書とどんな違いがあるのか?
皆さんは知っていますか?
このご時世、実は遺言書よりもエンディングノートの方が重要かもしれません。
今回は、そんな「エンディングノート」の内容やメリット、遺言書との違いについて行政書士が解説します!
エンディングノートが無くて困ったこと、ありませんでしたか?
さて、あなたはこれまで、家族の死後の手続きや相続、遺品整理などに関わったことはありますか?
その時にどうすればいいか悩んだことや困ったこと、ありませんでしたか?
家族の死に関する手続きに関わったことが無い人も、親族や周りの人から、葬儀や相続関係でトラブルになった話など、聞いたことはありませんか?
終活に関する情報を発信するメディア「終活瓦版」を展開する「株式会社林商会」さんの調査では、エンディングノートがなかったことで次のような困った体験談があげられていました。
引用:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000011.000078741.html
- 遺産を保持し、把握していた姉が、相続人の権利である遺産の開示を求めても話をはぐらかすばかりで遺産分割協議が進まずに困りました。(50代男性)
- 証券口座や銀行口座が複数あり、家族が誰も把握していなかったので、手続きに苦労しました。生命保険については、証券が見当たらないものの、引落としの履歴などはあり、どこの会社にどの契約が生きて残っているのか?を把握するだけでも時間を要しました。(50代女性)
- 遺産の整理時、母が管理していた大量の着物が出てきました。その着物をどうするのか、残しておいた方が良いのか、捨てていいものか、はたまた売りに出しても良いのか、とっても迷いました。(30代女性)
- 祖父は農家をやっていて大規模な畑の土地をどうするか困りました。誰が引き継ぎ手入れをしていくのか決めるときに困りました。(20代女性)
- 病気で見た目も痩せて顔の感じやイメージも変わってしまった為、葬儀でお別れに顔を見せていいものか?本人はこの状態を見られたくないのでは?と悩みました。(50代女性)
- 祖父本人は生前から墓はいらない、散骨を希望といっていたのに、家族がやっぱりお墓がないと、といいだした。散骨するにしても何処が良いのか、全く分からなくて困った。(20代女性)
エンディングノートのメリットとは?
いかがでしょうか?
あなたもこんな体験、お話を聞いたこと、ありませんか?
エンディングノートは、大切な家族がこんなふうに困らないように、あなたの思いや財産などの情報をまとめておくものです。
エンディングノートを書いておくことで、
- 自分の財産を把握できる
- 今後の人生と向き合うことができる
- 人生の最後や死後の思いを家族に託すことができる
- 残された家族があなたの思いを尊重し、円滑に手続を進めることができる
こんなメリットがあるんです!
エンディングノートと遺言書の違いは?
さて、「終活」で有名なものは「エンディングノート」と「遺言書」です。
では、この「エンディングノート」と「遺言書」の違いはなんでしょう?
2つの違いを表にまとめました。
項目 | 遺言書 | エンディングノート |
---|---|---|
法的効力 | あり (遺言書の内容に沿って不動産登記や銀行口座の解約などの手続きができる⇒遺族の協議が不要に) | なし (その分様々な要望や連絡事項を書ける) |
記載方法 | ・原則自筆 ・法に則った記載ルールあり(日付、氏名など) | 自由に何を書いてもOK |
閲覧の可否 | ・自筆証書遺言は家庭裁判所の検認(または法務局から取得)まで開封閲覧不可 ・公正証書遺言は開封閲覧可能 | いつでも閲覧可能 |
記載できる範囲 | 死後のことのみ | 生前、死後両方のこと |
記載できる内容 | ・遺産分割割合の指定 ・遺産分割方法の指定 ・遺贈や寄付 ・子供の認知 ・遺言執行人の指定 など | ・介護や医療の希望 ・葬儀や納骨の希望 ・資産、財産の情報 ・相続方法の希望 ・遺品の処分方法の希望 など |
遺言書には法的効力があるのに対し、エンディングノートには法的効力はありません。
これが大きな違いです。
じゃあエンディングノートって書く意味はない?
そんなことはないことは、上の表を見ればおわかりいただけると思います。
エンディングノートには法的効力がない代わりに、あなたの
- 介護のこと
- 認知症になったときのこと
- 死ぬ間際のこと
- 葬儀のこと
- 遺品のこと
- ペットのこと
- 家族や友人に伝えたいこと
などなど、あなたの思いを自由に書くことができるのです!
エンディングノートの入手方法は?
さて、エンディングノートはどこで入手できるのでしょうか?
代表的なものは以下の4つです。
- 書店やネットで購入する
- 自治体で無料配布しているものを入手する
- スマホアプリを活用する
- 自作する
私のおすすめは、「自治体で無料配布しているものを入手する」です。
私が住む久喜市をはじめ、多くの自治体でエンディングノートを無料で配布しています。
自治体で配布するものは、死亡時の各種手続きの届け出先などが記載されているものが多く、手続きの際に役立ちます。
項目は市販のものより少ない場合が多いですが、せっかく無料で入手できるので、まずはこちらを使ってみて、それから市販のものなどと見比べてみることをおすすめします。
エンディングノート、いつから書き始める?
「エンディングノートはどのタイミングで書き始めればいい?」
こんな質問をいただくことがあります。
答えは「今でしょ!」です。(古い?)
「エンディングノート」という名前から、死ぬ間際に書くものみたいなイメージをしてしまいますが、銀行口座や保険、各種契約情報など、実は結婚している夫婦だったら今すぐに共有しておくべき項目もかなりあります。
エンディングノートを書くためのコツとして、
- 今、書けるものだけ書いていく
- 必要のない項目は書かなくてOK
この2つがあります。
「まだ若いから、元気だから」書かないのではなく、「今共有しておきたいこと」を、家族でエンディングノートを見ながら話し合うことをおすすめします。
相続に関するセミナーや個別相談会の講師、承ります!
さて、弊所では、
- 遺言書の書き方
- 認知症対策(後見制度、家族信託)
- 相続税対策
などの相続に関する講座を開催しています。
もし「自分たちのコミュニティでも講師をしてほしい」という要望、お待ちしています!
相続は生前の準備が大切。ぜひお気軽にお問い合わせください!
さて、相続のこと、ぼんやりとは考えているけれど、ついつい後回しにしてしまいがち。
ましてや専門家に相談するなんて。。。
こんなかた、きっとたくさんいらっしゃるのではないでしょうか?
でも、今回ご紹介した「エンディングノートを書く」など、相続は生前からしっかりと対策をしていくことがとても大切です。
どんな些細な事でも、相談していただけるのは大歓迎です!
少しでも気なるところがあれば、遠慮なくご連絡いただければと思います。
ぜひお気軽にご問い合わせくださいね。
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